寄り添わなくていい、連れてってくれよ – 徳永由希初ワンマンライブ@西天満D’STYLE


(以下敬称略)
昨年8月7日、私の誕生日を飲み仲間に祝ってもらい、日宝三ツ寺会館で飲んだくれていた夜。

地下一階のBarプカプカにフラフラ入った時、翌月にライブに行くことになるおかありなの横にいたのが彼女、徳永由希だった。

おかありなとはライブにお邪魔して以来時々話すようになったが、徳永由希とはそうではなかった。
今だから書くが、昨年末にやる予定だったワンマンライブのお誘いのDMを頂いたものの、直後はあまり関心がなかったのだ。

その後、ワンマンライブが1月になることが決まり、プカプカでミニライブやる、とも案内が来た。
それならばとYouTubeをチェックしてみることにした。
最初に見たのが、昨年8月に難波Meleで歌われた「間に合わない」の映像だった。

何だ、この歌声は?
透明感があって伸びやか、響きは骨太、ファルセットもとても綺麗、なのにどこか震えと揺らぎがある、今まで聴いたことのない声だ。
歌詞はひたすら報われない女の子の、つまらない日常の風景ばかりで割とキツい内容だと思ったが、その時の私には大した問題ではなかった。
それから、彼女のライブ映像をYouTubeで聴き漁る日々が続いた。
はっきり言って、それまでよく聴いていたアーティストのことなど、この時は頭の中から無くなっていた。

年が明け、正月ボケもすっかりなくなり、突然冬将軍が活躍しだした1月20日。
会場である西天満のD’STYLEのあたりに差し掛かった時、少しだけ寒さが和らいだ感じがしたのは、気のせいだろうか。

IMG_4340

彼女の歌を聴いていると、情景が頭の中にすっと入って来る。
この日のMCで彼女自身が言っていたが、誰かの後押しをしたり勇気づけたりするというよりは、聴き手の心に寄り添うのが、彼女の歌だ。
世の中、特に恋愛というのは簡単に白黒つけられるものではないし、安易に後押しも出来ないし、勇気づけようとすると失敗することもある。
だから、「私もそうだよ」「あなたもそうだよね?」という同意や共感が、そのまま楽曲や彼女自身への支持だと言えるだろう。

ただ、それだと彼女と聴き手のイメージは、あくまでも彼女と聴き手が想像する所の「外」から広がることはないと思う。
私が色んなアーティストの音楽を聴いて楽しくなるのは、自分のイメージの「外」の世界に連れてってもらえることだ。
自分が考えたことがない、思いついたことすらない世界に連れ出されてしまい、でも何となく分かる、楽しい、この場所は不思議と心地よい……そういう感覚をおぼえたアーティストを、過去好きになって追い続けて来た。

IMG_4341

ライブの終盤のMCで、彼女はこう言っていた。(要約)

「私は今までずっとひとりでやってきて、これからもずっとひとりでやっていくんだと思っていたけど、今回の初ワンマンライブを開くまでに、本当に色んな人の協力があって出来たことを痛感しました」

そう思うのなら、聴き手のイメージの「外」の世界に連れてってもらえる歌をうたって欲しい。
別に、誰かの背中を後押しするとか、誰かを勇気づけるとか、そういう歌が欲しいと安易に言いたいのではない。
失恋でもいい。難しい恋愛でもいい。バイトのぼやきでもいい。
こちらのイメージに寄り添うだけでなく、それを「引き受けて」、更に「外に広げてくれる」、そういう歌が欲しいのだ。

IMG_4359

ライブ・パフォーマンスにおいては、正直非の打ち所が無いように思えた。
緊張はしていただろうし、MCはぐだぐだだったけど、ギターは安定していた。リズム走りまくりだったけど、ライブでは良くあること。
そして何より、やはり歌声は強烈で、会場を完全に支配していた。
だからこそあとは、イメージの「外」の世界に連れてってくれる歌さえあれば……と思うのだ。

IMG_4354

本当はこういうことをを直接言いたかったんだけど、とてもまとまりそうになかったので、物販の列にも並ばず、そのまま帰ってきてしまった。いい歳して、いつまでもコミュ障ですみません。

ただこれは買ったから、また当分聴き込んでみますよ。
期待してるんだからね、死ぬほど。

IMG_4363

あ、お誕生日おめでとうございます。
この誕生日の夜のことが、これからもいい思い出のひとつとして、あなたの中に残るといいね。