俳優 亀岡拓次


最近急に俳優・安田顕という人が気になっている。
大泉洋と同じTEAM NACS所属の俳優で、お馴染み「水曜どうでしょう」では「onちゃんの中の人」とか「牛乳リバース」とか数々のネタを繰り出して来た人だが、昨今は大泉洋以上にドラマや映画に引っ張りだこで、メインキャストを務めることも増えて来た。
一度彼の主演作品をきちんと見たいなと思い、Huluのアカウントを久しぶりに復活させて本作を視聴した。

戌井昭人氏の小説が原作。
ホームレスや泥棒、チンピラなど様々な役を監督に求められるがままに演じ、撮影上発生するトラブルを神がかったミラクル演技で救い、「現場に奇跡を呼ぶ男」と呼ばれ重宝されている。といっても別に「俳優としてビッグになる」という貪欲さがあるわけではなく、ただ仕事終わりの晩酌を楽しみにしている俳優。それが亀岡拓次である。
ある日、映画の撮影で訪れた長野県諏訪市でたまたま入った居酒屋の若女将・安曇(麻生久美子)に恋をしたというイベントはあるものの、脇役俳優として多忙な日々を送る亀岡の日常はたいして変わらず、「苦手」と言っていた舞台に挑戦したものの劇団主宰の大女優・松村(三田佳子)に罵倒されシゴかれたりもする。

亀岡はまた妄想を繰り広げる人間でもある。そこが現実とミックスされて、観客は…亀岡自身も心酔する世界的映画監督のアラン・スペッソが劇中で言った通り、「船酔い」したような不思議な気持ちになるのだ。
でもその船酔いがどこか心地よく思えるのは、ひとえに亀岡を演じる安田顕の強烈な佇まいがあってのことだと思う。
スペッソ監督のオーディションを受ける時、亀岡が延々と一人芝居を繰り広げるのだが、鬼気迫るその表情に思わず見入ってしまった。泣き、狂ったように笑い、また泣き、そして愛を語る。
「一体何だったんだろう」と感じたのだが、それこそが「映画という船酔い」の真骨頂なのだろう。
その船酔いの直中にいるのは、何とも言えない眼差しでスクリーンに立つ、安田顕その人なのだ。

麻生久美子は可愛かった。確かにあんな若女将がいたら毎日でも通っちゃいますね。
染谷将太や(アレがあった)新井浩文がしれっといたのは驚いた。
あと三田佳子と山崎努はやっぱりすごいな。映っただけで存在感があるわ。