吉澤嘉代子から目を離すな(14) – 吉澤嘉代子の発表会~子供編~@東京国際フォーラム ホールC 報告 #吉澤嘉代子


春から続いた「自分的吉澤嘉代子フェスティバル」の最終章が今回のライブである。
東京国際フォーラムでは何度か公演経験のある吉澤嘉代子だが、私は今回初めて足を運んだ。

新幹線で終着の東京駅に向かう途中にある巨大なガラス張りの建物が「東京国際フォーラム」だ。有楽町駅から至近なのは勿論、東京駅からも徒歩で向かってもそんなに遠くない。
何かの展示会が開かれていたようで、雨が降り出しそうな天候にも関わらず敷地内は人でごった返していた。

開場時刻の17時30分より随分早く会場入りしたのには理由がある。
吉澤嘉代子が初めてアーティストブックを作るためのクラウドファンディングを募集していて、その特典としてライブのリハーサルを観覧できる権利を得たのだ。
本人曰く「鶴の機織りを特別にお見せします」とのこと。彼女らしい表現。
同じように特典を得た人が…150人ぐらいいただろうか。男女色々、世代も色々。ファン層の広がりを感じる。

入場順は早いもの勝ちではなく厳正なる抽選だった。
こういうの本当運がないからなぁと軽い気持ちで引いてみたら…これである。

おかげで最前列でリハの様子を眺める幸運に恵まれた。

一通り見て改めて感じたことがある。
吉澤嘉代子のライブには大抵「台本」があって、だいたいライブ本編はその脚本にしたがって進行する。
で、当たり前のことだけど、脚本の中身は吉澤嘉代子の頭の中にすべて入っていて、その詳細をスタッフさんと緻密に確認していく作業が延々と続いていたのだ。
とはいえ、適度な緊張感はあってもピリピリしておらず、合間にバックバンドのメンバーさんとふざけたりニコニコ笑い合ったりしていて、終始リラックスムードであった。

30分という持ち時間はあっという間に過ぎて、静かに退場。
ロビーに戻ってみたら入場待ちの列が既に出来ていた。物凄い数。
壁に貼られた「両日完売」「当日券の発売はありません」の文字。
だんだん見慣れて来たが、有り難いことだと本当に思う。

さて本公演に入場。
私は1階席だったが、2階は勿論3階まで満員である。

開演。

「子供編」ということで、彼女が子供時代のことをストーリーだてて展開していく、おなじみの「寸劇」である。前回のBIGCATが(彼女にしては珍しい)「普通のライブ」だったので、「おお、これこれ」と懐かしくなった。時々ねじ込まれた微妙な笑いどころも含めて。
曲としては「魔女図鑑」「変身少女」あたりの、割と初期の楽曲が多かったように思う。最近ライブで聴けていなかった曲もやってくれて、ちょっと嬉しかった。
そういえばあの愛犬・ウィンディの声って、渋谷でやった時の「うんころもち先生」と同…ゲフゲフフン。

これも多分、本人が認めた「子供の自分を商品化している」ということなのだろう。
でもいつまでも「子供の自分」という「ネタ帳」があるわけではない。それをアテにしているといずれ限界がやってくるし、そもそも自分だって歳を取るから、考え方や捉え方も変わるわけで、「この歌を書いた時はこういう感情があったけど、今は考え方が変わっちゃって、もう歌えないな…」ということもあるかも知れない。
その意味で、私は何度も述べているが「落とし前」をつける意味もあったのかも知れない。
新しい段階に進む前に。

事実、本編終了後のアンコールで歌われた「ミューズ」の異質感は凄かった。
演奏のテンションといい、吉澤嘉代子自身の歌の入り込み方といい、明らかに本編とは次元が違う。
会場も圧倒されて一瞬拍手を忘れていたような感じすらあった。

私は「大人編」を見に行けなかったのだが、これも「大人になってからの魔女修行」に「落とし前」をつける内容になったのではないかと思う。

多分そろそろ次のアルバムに向けて曲を書き始めている頃だと思うが、一体次のアルバムがどんなものになるのか……正直全く想像がつかない。
でも間違いなく「月曜日戦争」も「残ってる」も、そして「ミューズ」も収録される、「勝負」のアルバムになるはず。期待して待ちたい。

吉澤嘉代子の時代はこれからだ。