EMPiRE FiRST ONEMAN LiVE “THE EMPiRE STRiKES START!!” at マイナビ赤坂BLITZ 報告 #EMPiREiDOL #EMPiRE赤坂


BiSHなどが所属する事務所WACK(わっく)が、エイベックスとタッグを組んでデビューさせたアイドルグループが、このEMPiRE(えんぱいあ)である。
圧倒的なライブパフォーマンスと強烈な個性を持つメンバーを擁するBiSHに比べると、メンバーの雰囲気が全般的に大人しい感じがして正直不安だった。

私のその印象を一変させたのがリード曲の一つである「アカルイミライ」のミュージックビデオだ。

BiSHや第1期BiSのようなギターサウンドではなく、もっとコンフォータブルなポップス。
歌もきっと聴きやすい声の人ばっかり揃っているのかなと思った所に、最初に飛び込んで来たのがYUKA EMPiRE(ゆか・えんぱいあ)の声である。
(※EMPiREのメンバーは全員名前の後に「EMPiRE」と付けられる)

ベビーフェイスに似合わない低い声だが、ハスキーとは少し違う。しゃくり上げるような独特の歌い回し。でも音程は総体的にとても正確。何だこの人? と思ったのが率直な気持ちである。

歌唱力でいえば、一番はショートカットが目印のMAYU EMPiRE(まゆ・えんぱいあ)だと思う。ハイトーンが特に心地よい。

ぶっちぎりで美人なYU-Ki EMPiRE(ゆーき・えんぱいあ)。明るく、華のある歌声である。

独特の存在感のあるMiDORiKO EMPiRE(みどりこ・えんぱいあ)。一番線の細い歌声だが、ここ最近著しく歌が上手くなっていると思う。

そして最後がYUiNA EMPiRE(ゆいな・えんぱいあ)。多分一番アイドルらしいキャラクターであり、歌声だと言えるだろう。

かように、他の4人が総体的にハイトーンな声であるにもかかわらず、何故YUKA EMPiREをこの曲の「メイン」に持ってきたのか。
それを知りたくなり、私はEMPiREを追いかけてみようと思った。

BiSHの全国ツアーでオープニングアクトをつとめライブの場数を踏んではいたが、1回あたり2曲程度。対バンライブよりも少ない持ち時間だ。
いずれ行われるであろうワンマンライブなら最低2時間弱になるわけで、持ち曲は勿論、本人たちのスタミナは2時間持つのか…と、正直心配になっていた。

ファーストアルバムの発売が決まり、初のワンマンライブも決定してメンバーの士気も高まっていた折も折。毎年恒例のWACKオーディションにおいて、新メンバー2名の加入と、YUiNA EMPiREのBiSへの完全移籍が発表された。
メンバー自身は勿論、ファンの間にも「もうすぐ初のワンマンなのに何故今メンバーチェンジ?!」という疑問が起こり、この決定に納得しない者もまた数多くいた。
私自身複雑な気持ちを心に抱えたまま、夜行バスを駆使してマイナビ赤坂BLITZに乗り込んだ。
何だかんだとチケットは完売。場内は一睡の余地もないぎゅうぎゅう詰めである。

恒例のWACK渡辺淳之介社長の開場挨拶の後、まずは「5人のEMPiRE」が登場。

今回の”采配”に対する複雑な思いをぶつけるように、冒頭から激しいライブパフォーマンスが繰り広げられ、会場にいるエージェント(EMPiREのファンの総称)もそれに呼応するようにコールを、そして振りコピを繰り広げる。
因みに、楽曲の振り付けの一部はBiSHのアイナ・ジ・エンドが付けている。彼女独特の、カッコいいけどとても親しみやすく分かりやすい振り付けが、このEMPiREでもしっかり活かされていると思う。

ワンマンライブは初だが、既に初々しさは薄れ、堂々としたライブパフォーマンスであった。だが終盤に近づくにつれ、そしてYUiNA EMPiREとの別れが近づくにつれ、他の4人が総じて悲しさを内包した表情に変わっていくのを見逃すことは出来なかった。

そして、いよいよ「5人のEMPiRE」の終焉である。

残る4人のメンバーへの想いと感謝を述べるYUiNA EMPiRE。
泣き崩れるエージェントもいたが、私は淡々とその様を観ていた。

初のワンマンライブでいきなりメンバーチェンジ。無論苦境には違いないのだが、言うなればこれは「人為的に作られた苦境」だと思う。
悲しみに暮れる人はいて当然だし、それが推しメンバーであったなら尚更であろう。
それでも私個人としては、一介のファンに過ぎない者が悲しみに暮れるのは違う、と思っている。
ファンなんていい加減なもので、次の可愛い子が現れて不意に心を奪われることもあって、それで喪失の悲しみを紛らわせたり埋めたりするものだ。
ただ演者はそうはいかない。自分の人生を大いに左右されるわけだから、悲しむことも、怒りをおぼえることもある。
そんな演者とファンが完全に同じ気持ちになることはあり得ないし、安易に「分かる」と言うことは失礼にあたるのではないだろうか。
だから、突き詰めるとファンは演者を「見守る」ことしか出来ないのだ。
その結果、演者の進む道を是認して追従すること、反発して決別すること、どちらもあり得るし、そのファンひとりひとりの選択を、他のファンは勿論、演者自身も尊重しなければならないと思う。

そんなことを考えているとステージは暗転。
「えんぱいあ! えんぱいあ!」というエージェントの声がしばらく場内に鳴り響いた後、再び照明が点される。
ステージに立っていたのは「6人のEMPiRE」だった。

新メンバーは2人。
ハイトーンを響かせ満面の笑顔で踊りまくるMAHO EMPiRE(まほ・えんぱいあ)と、歌もダンスも発展途上だが自らを「異物」と言い切るMiKiNA EMPiRE(みきな・えんぱいあ)。
(※写真は省略します。ごめんなさい)
恐ろしいことに「5人時代」と全く同じセットリストをもう1回演ったのだ! 言い方は悪いが「強制上書き保存」である。
YUiNA EMPiREを惜しむ人には残酷な流れだが、そんな中でも6人は実に楽しそうに、何かを吹っ切ったような、ハツラツとしたパフォーマンスを繰り広げていた。

ライブ自体はとても満足した。久しぶりにオールスタンディングでの「圧縮」を経験して生傷も出来たけど。
総じて私が再確認したのは、まだ荒削りだが、独特の歌声と強靭な意思を見せつけるYUKA EMPiREの圧倒的な存在感であることも付け加えておく。

YUKA EMPiREはインタビューで「5人のEMPiREは華麗に散りたい。だから会場全体灰にするぐらいに燃え尽きる。そうでないと6人のEMPiREを始められない(意訳)」と力説していた。
ライブの全てを見届けた今になって思うのは、5人のEMPiREのお葬式と、6人のEMPiREの出産祝いを2時間で盛大にどんちゃん騒ぎでやり切った、といった感じだった。
だって凄くハッピーだったんだもん。EMPiREのみんなも、エージェントの表情も。YUiNA EMPiREも最後にはすっきりした表情を見せていたし。
いわば「新しい『アカルイミライ』」が見えて来た、と言えるだろうか。

今回の”采配”が平賀てつおさんの仰る「天才的な人事采配」かどうか、私には正直まだ分からない。

7月から初のワンマンライブツアーが始まるという。9月にはミニアルバムも出る。
生まれたばかりの「帝国のお祭り」に、私はしばらく付き合ってみようと思う。
この”采配”の意味を見極めるために。

今年の夏は久しぶりに騒がしい夏になりそうだ。チケット取れるやろか…