探偵はBARにいる3


「水曜どうでしょう」のイメージが強く、バラエティ中心の半分タレントな俳優だと思われていた大泉洋が「役者」として世間に広く認識された作品が、2011年に公開された映画「探偵はBARにいる」だった。
2013年に第2作「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」が作られてから4年。個人的にも非常に待ち焦がれた第3作である。


“札幌・ススキノのプライベート・アイ”を自称する探偵(大泉洋)と、その相棒にして北大農学部の助手・高田(松田龍平)が、依頼人からの依頼に奔走する内に、予想外の大事件に発展しそれに巻き込まれていく…という大まかな流れは3作とも変わらない。
美しく謎の多いヒロインと、その背景にいる勢力に翻弄され、探偵は毎回痛めつけられるも、紆余曲折の末に事件の真相に近づいていく。そして探偵が危機に陥った時、空手道場師範代でもある高田が必ず遅れて登場し、その場を逃げ切る…というのも毎度の「お約束」である。

「探偵はBARにいる」シリーズの素晴らしい所は、エンターテインメントとペーソスが絶妙に配合されている点だと思う。最近スピリッツで続編連載が始まった「仮面ライダーW」の表現を借りれば”ハーフボイルド”とも言えるだろうか。
エンターテインメントの側面を担っているのは、言うまでもなく大泉洋だ。
毎度ヒロインを蹂躙する勢力に翻弄されつつも、いい意味で危機感がなく、そしてメゲない。「猛烈にヤバい!」と叫ぶ姿も、どこか微笑ましい。
そしてペーソスの側面もまた大泉洋によってもたらされる。
これも毎度だが、真相にたどり着いても、探偵はいつもヒロインを救うことが出来ない。己の無力さを痛感した時の探偵の佇まいと、ほんの少しだけ見つける希望。それが、エンドロールが終わってもほろ苦い余韻としていつまでも心に残るのだ。
この両者の絶妙なバランス、それこそが本シリーズの真骨頂だと思う。
そしてそのバランスを際立たせるのが松田龍平演じる高田の飄々とした存在感であり、探偵との”付かず離れず”の距離感だ。暑苦しい”バディ”ではない、独特のテンポを作品に産み出しているのではないだろうか。

さて第3弾である本作のヒロインは北川景子。色んなものを抱え込んだ末の、探偵に「私、出会ったんだ」と微笑んだ無邪気な笑顔。そして直後に見せた凄みのある表情と叫び。勿論、美貌は言うに及ばず。小生、正直女優としての彼女の力量を舐めていました、すみません。素晴らしかったです。圧倒的ヒロインです。
リリー・フランキーの「小悪党」ぶり、前田敦子の「バカ女」ぶり、鈴木砂羽の「姐御」ぶり、そして志尊淳の「得体の知れなさ」もよかった。
そして田口トモロヲやマギー、安藤玉恵や篠井英介、そして松重豊といった「いつメン」も健在。4年ぶりだったから色々設定を思い出しながら観ていたけど。

映画の出来としては言うことなし。
願わくば、もう第3弾まで続けたのだから、「釣りバカ日誌」みたいに定番シリーズ化して欲しい。そして次回作は4年も待たせないで欲しい…(懇願)

因みに…色んな方が既に仰っていますが、エンドロールの最後の最後までちゃんと観ましょうね。